ウォッシュトかナチュラルか ~コーヒーの精選方法~

精選とは

コーヒーノキの果実(コーヒーチェリー)の種子がコーヒー豆というわけですが、果実から果肉などを取り除いて生豆にする工程のことを精選もしくは精製といいます(この記事では精選で統一します)。

ちなみにコーヒーチェリーは外側から

外皮→果肉→パーチメント→シルバースキン→種子

のように構成されています。写真やイラストが無いと分かりにくいですよね、スミマセン…。


様々な精選方法

コーヒーの精選方法には大きく分けて2種類あります。

湿式と乾式です。

それらを細分化すると

湿式

・ウォッシュト(水洗式)
果肉などを取り除き、パーチメントの外側に付着しているミューシレージと呼ばれる糖分を含む粘質物を発酵・水洗いで強制的に除去後に乾燥、パーチメントを剥がします(脱殻)。

・パルプドナチュラル/ハニープロセス(半水洗式)
果肉などを取り除き、ミューシレージが付着したままの状態で乾燥させ、脱殻します。
ハニープロセスではミューシレージの残し具合でブラックハニー、レッドハニー、イエローハニー、ホワイトハニーなどと呼ばれ方に違いがあります。ホワイトになるにつれミューシレージの除去率が大きくなります。

・スマトラ式
インドネシアのスマトラ島などで行われている精選方法で、果肉などを取り除き、ミューシレージが付着したまま(もしくは除去して)一次乾燥、その後十分に乾燥していない状態で脱殻し、生豆にしてから二次乾燥をさせる方法。

乾式

・ナチュラル(非水洗式)
収穫したコーヒーチェリーを果実のまま乾燥させ、乾燥した後に全てを剥ぎ取って生豆へと脱殻します。


風味の違い

ウオ・・ッシュト!?とか言って…

さて、精選方法に色々とバリエーションがあることは分かりましたが、それによって味にはどのような影響が出るのでしょうか?

・ウォッシュト
ウォッシュトの文字通り、果肉やミューシレージが綺麗に取り除かれた後に乾燥となるためクリーンで洗練された風味が特徴です。

・ナチュラル
果実のまま乾燥させるということは生豆に果肉が触れている状態が長いということです(厳密に言えばパーチメント越しですが)。結果的に果肉由来のユニークな香りや風味のあるコーヒーが出来上がります。

・パルプドナチュラル/ハニープロセス
半水洗式と呼ばれることもあるこの精選方法はちょうどウォッシュトとナチュラルの中間のような感じで、程よい果実を思わせるようなフレーバーとすっきりした味わいを兼ね備えています。ただし、ハニープロセスの場合はホワイトハニーになるにつれミューシレージの除去率が高いためウォッシュトに近く、逆にブラックハニーになるにつれミューシレージの除去率が低いためよりナチュラルに近く個性的なコーヒーになっていきます。

・スマトラ式
当店では今のところ取り扱いがありませんが、スマトラ式独自の精選方法により特有のアーシーと言われる大地や土をも思わせるようなフレーバーが生まれます。


まとめ

この記事ではコーヒーの精選方法をご紹介させていただきました。実はここで挙げたのはごく一般的なものたちで、これら以外にも数多くの方法があります。一つ例を挙げると、コピルアクというコーヒーは聞いたことあるでしょうか?ジャコウネコがコーヒーチェリーを食べ、その糞から未消化の種子を取り出したものですが、これも一種の精選方法です。また更に近年ではより細分化、多様化した様々な精選方法が日夜生み出されています。

ちなみに精選方法は生産国や農園、もしくはお店によっても解釈に違いがあるのか表記などに違いがあり割と曖昧な場合もあります。例えばフリーウォッシュトと表記されているコーヒー豆はよく見かけると思います。ウォッシュトとフリーウォッシュトは全く同じものと定義して良いのか、はたまたウォッシュトの中のバリエーションの一つであるのか私の勉強不足かも知れませんが、正直言いますとあまりよく分かっておりません(このあたり文献によって説明に違いがあったりするもので…)。ですので基本的には農園の表記に従って商品説明などに記載するようにしています。

それと余談ですが、ウォッシュトかウォッシュドかは単に発音の問題だけですのでどちらでも良いのではないかと思っています。当店は一応"ト"に統一していますが…。

いかがだったでしょうか?かつて品種に着目したコーヒー選びも面白いかも知れませんといったブログを書いたことがあるのですが、精選方法にも着目してコーヒー豆を購入してみるのもまた自分好みの一杯探しに役立つかも知れませんね。

それでは、Have a lovely coffee break!

ブログに戻る